低学年時代に学ぶべきこと
低学年時代に学ぶ解剖学や生理学といった基礎科目は、当時は「こんな細かいどうでも良いことまで覚えないといけないのか?」や「こんなこと本当に将来役に立つのか?」といった疑念を抱きながら勉強していた記憶があります。
確かに、臨床医をしていて使っていない基礎科目の知識がたくさんあるのは事実だと思います。少なくとも、解剖で習ったはずのラテン語や微生物の正式名称は残念ながらほとんど忘れていますが、臨床をやっていく上でまず困ることはありません。
ただ、病態生理(病気が起こったことで身体にどのような変化が生じるか)を理解するためには、やっぱり解剖学や生理学で学んだ知識は絶対に必要です。もちろん、細かいことは忘れてしまいましたが、大枠はしっかり覚えていく必要があります。内科医ならば生理学で学んだ身体の正常反応を理解しておくべきですし、外科医であれば手術の際に解剖学の知識は必須中の必須です。
私は内科が専門であり、今の年になってやっと基礎科目の大切さがわかった気がします。患者さんの中には複合的な要因で体調不良を訴える方がいて、病態整理をしっかり考えることで何を優先すべきかを知る鍵になります。振り返ったときに「この薬を使ったから、〇〇という状態が改善して良くなった」と思い返すことも出来ます。
もっとも、学生時代のこのことを理解するのは不可能だと思います。研修医の段階でも難しいと思います(できる医者もいて、やっぱり優秀だと思います)。少な子もこれを理解できるまでに私は結構長いことかかりました。
まあ、学生時代は訳もわからずやっているので、医学部生の勉強はやっぱり苦行だと思います。とはいえ、今でも勉強したことは使うわけなので、無意味なものではありません。低学年時代はそこさえわかってもらうだけでも合格だと思います。あとは頑張って試験を乗り切りましょう(笑)
実際にやっていた勉強法
医学部は資格を取るということが最終目標であり、教科ごとに到達目標というのが定められています。低学年時代、特に基礎科目は市販の問題集自体が少なく、かつ教授の好みで傾向がかなり変わるため、どうしても対策法が無い時は到達目標を参考にしていました。
到達目標の例をあげれば、「〇〇の機序について説明できる」というものです。記述試験も多かったので、この内容を記述での回答に耐えうるように鍛えておきます。私が通っていた当時は生理学がこれを基盤として試験問題を作っていました。ですので、友人と分担してこの答えを作り、先人達が残した解答集と照らし合わせてより良い解答集を作っていました。
結果的に、記述式の場合の方がしっかり理解していないと合格点を貰えないので、理解をするという点では良いのだと思います。ただ、実際にこの答えが合格点を貰えるかは謎でしたし、手探りで頑張っていた記憶の方が強かったです。
結果的に言えるのは①過去問、②到達目標、③先輩からの資料、④学年の優秀な奴が作った資料、⑤教員からの試験情報 の5点セットを繰り返しやっていた気がします。低学年のうちは雲を掴むようによくわからず勉強していたこと、何だかんだで学校生活に慣れることが大変だったこともあり十分な知識を得ることはできていなかったと思います(まあ試験にギリギリでも通るレベルの知識は持っていたようですが)。
今は臨床医になってそれなりの年数が経ちますが、もうあの低学年時代の生活には耐えられないですし、試験には通らないと思います。それくらい、あの当時の勢いというのは重要です。学年での成績・順位は医師になってからはどうでも良いですし、聞かれることはありません(飲み会ネタくらいです)。進級のたびに墜落しかけていたけど墜落しなかった人が教授になることはありますし、成績上位の人が優秀な臨床医というわけでもありません。繰り返しになりますが、医学部の試験は通れば良いです。そのことを覚えてもらえていれば良いのだと思います。